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アカマツよりも強い植物です。 樹皮は、黒灰色です。 海岸近くでよく見かけられますが、暖地では内陸にもあります。 潮風などに強く、防風林などによく使われいます。 黒松の盆栽は最も多いかもしれません。 日本人の植物感も良く好まれています。 丈夫で長生きするので育てガイがあります。 黒松の冬芽は、4月下旬〜5月上旬に長くローソクの様な芽となって伸びます。 この新芽は若木や仕立て中の樹ほど長く、長さが不揃いで樹冠部や枝先の芽は長く、フトコロ芽は短くなります。 緑摘みの作業は、長く伸びて勢いの強いローソク芽を折り、枝先の成長力を平均化するために行います。 黒松の盆栽は、古い樹では250年にもおよぶといわれています。 |
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我々、趣味者の側からすると素材が豊富で若樹から畑作り・長年の鉢作りなどいろいろと味のあるものが欲しいと思うが、岩にしがみつくように風雪に耐えて生きる松の古樹といったものは高価でありすぐれた素材は豊富にはありません。 松はひたすら長命なのであります。 人間ひとりいくら気力をかきたてても、自然の目で見れば一瞬の事に過ぎないのです。 よく、百年作り込めば大概の樹は名樹に成るといいます。 個人の持ち物でなく、一時を育てることを任されているだけであって、次の人に渡して行かなければならないのかもしれません。 「人間はみんな苦しんでいる。 ・ ・ それが我々を立派にする 見ろ山頂の松の古木をその梢が烈風を切っているところを その音の痛々しさ ・ ・ そして倒れる時が来たらば微笑んで倒れろ 一切を有りのままにじっと見つめて 大木のように倒れろ ・ ・ 頑固であれ それこそ人間だ」 | |
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熊本の友人からもらったフウランが三株ほどある。 子供の頃は山深く入ると立ち枯れの古木に生えているのを何度も見かけた。 田舎ではさほど珍しいものではなかったが、香りがいいのでとってきては日のあまり当らない縁側の軒場に下げたりしたのを覚えている。 セキコクもフウラン同様に古木に自生しているが、生木の上でもよく生き続ける。 大分県の湯布院の寺の庭にある松の大木の上で、沢出花をつけたのを見た。 帰りに少し分けてもらってきて、庭の梅の二叉の枝にしばりつけておいたら、今年花をつけた。 花の色は白と薄紫とあるようだ。 ランの種類は実に多い。 数え出したらきりがないが、一番身近なのにシュンランがある。 前にも一部とりあげたことがあるが、再登場させることにする。 シュンランは日本のどこにでも見られるランで、別名ホクロともハクリともいう。 しかし一口にシュンランといっても、専門家にいわせると、これまた色々と種類というか、変種というか、ありふれたのから珍品、逸品まであるらしい。 |
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当地の山にも三十年前私が移住してきた当時は、山歩きすると必ず見かけたものだが、いまはほとんどなくなった。 訪る人がとりつくしたのだろう。 私の庭には数株の自生のものが毎年春になると花をつけ株を大きくしている。 ところが友人から送られた台湾のイトラン、天草のシュンランは鉢にして大事にしていたのにうまくいかない。 段々株が小さくなり枯れてしまったのもある。 那須の山小屋の庭には近くの雑木林から数十株移し植えたが、同じ土地なので機嫌がいい。 ここのシュンランはありふれたものだがいたるところにあるので、花だけ摘んできて食べる人もいる。 カンランは私の郷里の熊本と、宮崎県境の山に自生しているので、ひところ高価に売れるということで地元の人々が目の色を変えて採取に夢中になっていた。 近年はあまり騒ぎを聞かないのでとりつくしたのだろう。 しかし九州山脈は山が深いからまだ探し出されないのがあるかもしれない。 ここにはイチフサカンランという逸品があるそうだが、うまく人の目をのがれて栄えてほしいと思う。 地元の友人に椎林のウラジロシダの中の厚い腐葉土に自生した、十センチほどの子供のカンランを見せてもらったことがあるが、よくもこんな所まで見つけたものだと感心した。 |
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晩秋の湿地を彩るイワショウブ十一月ともなると、山野の花も限られた種類になりますが、樹木の紅葉や実も美しく、花とはまた異なった趣があり、低山や丘陵を歩くのに最適な季節になります。 草ものもタデやナンバンハコベのように、花よりも実が美しく目立つものもあり、また紅葉の美しいものも少なくありません。 紅葉の美しい草ものの中には、アツケシソウのように特種なものもあれば、路傍のムラサキエノコロのように、ごく身近なものでも、季節によって素晴らしい紅葉を見せてくれます。 このムラサキエノコロは、ネコジャラシと呼ばれる穂が出てなければ、ベニチガヤと見違えるほどの草姿です。 九〜十月頃に黄色い花をつける、カラスノゴマは十一月に入ると、いっせいに紅葉しますが、群生する性質があるので、田畠の縁や河川の土堤などで、見事な紅葉を見せてくれます。 花ではアザミ類やノギク類、ハグマ類などキク科のものが多く見られます。 リュウノウギクやアワコガネギクは、山地の崖や岩場などの日溜りに多く、菊らしい香りが高く、蜂や虻や蝶などが沢山訪れています。 |
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アザミの花も昆虫が多く集まるもので、山野の草地に群落をつくって咲くため、群生美も素晴らしいものです。 低山の草原ではノハラアザミが最も多く見られますが、大形になるアザミ類も田畠の近くではノギク類と共に、時々刈り込まれるため、丈低く分枝してかえって花を沢山つけ、刈られるほど次々とツボミを出して、寒くなるまで咲き続けます。 これらのものを鉢や庭に栽培する場合は、摘芯して草刈りと同様の管理をする方が、かえって美しく咲かせられるものです。 ツリガネエンジン、ヤマハッカ、アキノタムラソウ、シュウメイギクなども、刈り込まれる場所の方が遅くまで咲いています。 暖かい海岸などではイソギク、シオギク、ノヂギクなどやイワニガナ、ワダン、ヤクシソウなどやはりキク科の花が多いようです。 ツワブキもハマアザミも見られますがやはりキク科のものです。 |
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東北地方に多いコハマギクは、小鉢で量産されて十月末から十一月に店頭で良く見かけますが、つくりやすい可愛らしい野生菊で、小鉢や寄植え、庭植えに特に好適な姿で喜ばれます。 ヤクシソウは山地から海岸まで、どこにも見られるものですが、越年草ですから、必要分の苗だけを残して、小鉢や寄植えの中や庭に咲かせると、小さい黄色い菊花が沢山咲き、明るい感じでたいへん可憐でよいものです。 遅咲きのヤマラッキョウ、ダイモンジソウ、ハチジョウアキノキリンソウの花や、フユノハナワラビの胞子葉が山草棚を飾り、カンアオイの花が、落葉の下にかくれて咲き始め、そろそろ多くの山野草が冬仕度に入ります。 沢山花を咲かせたものには、消耗に合せて多めに施肥して、来年また良い花をつけるようにします。 寒くなって病害は心配なくなりますが、ヨトウムシ、ナメクヂ、アリマキは活動も盛んで、早めに消毒や捕殺すると安心できます。 |
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イワショウブ ユリ科の多年草で、分布は本州の中・北部と限られていますので、割合に栽培されていません。 また、山野草をつくる人の中にもいろいろとくせがあって、同じ仲間の小形種であるヒメイワショウブやチシマゼキショウ、ハナゼキショウなどは多くつくられていますが、花茎が40cmほどにも高くのびる、イワショウブはやや敬遠されがちです。 しかし生育次第で花茎も20〜40pぐらいの間で咲き、しかも秋遅く清楚な白花をつけ、その後に紅い実が結実して、寒くなるまで花よりも美しく眺められるもので、もっと生産されて広くつくられると良いと思います。 春の芽出しのキリッとした剱状葉、夏の涼味ある青葉、秋の白い花、晩秋から冬にかけての紅い結実など、観賞する時期の多い佳草と云えます。 湿地や湿原に生育するもので、サギソウやイグサ類などとの寄植えにも好適で、単植の他に各種の湿地性のものと、いろいろ寄植えが楽しめます。 用土 赤王土と桐生砂の半々か、それに富士砂を二〜三割混川します。 鉢 根が割合に多いもので、多少深さのあるものが好適ですが、浅鉢にも植えられます。 清楚な花ですから渋い胎土のものが最適ですが、使いこんだ石皿なども素敵です。 最近の焼シメの信楽鉢などは使いよいでしょう。 |
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